儒教
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春秋時代の思想家・孔子
BC551~BC479を祖とした政治万能主義を基本としている、当時は多くの思想家が闊歩しており孔子はその他大勢的な存在であったが、武帝(漢 BC136年)の登場で儒教は国教となる。 
先祖崇拝に対する儀典のプライオリテ
Priority・優先順位)が高い哲学的宗教である、この時代多くの思想家が存在したが、漢の武帝の命令により国教に指定された、一部には儒教は社会制度、倫理規範であり宗教にあらずと言う説がある、要するに儒教には神も仏も存在しない為かもしれない、日本では規範方法・儀典仕様が総て破棄されており宗教との概念は消滅している、しかし礼の実践に厳しい宗教である事に疑いの余地は無い、また官僚を登用、育成する為の「科擧 (かきょ)(科挙)に登用育成する試験の内容を持つ、因みに科挙とは科目に分けて推挙する意味とされる
中国に於いては道教、仏教と共に三教に数えられる、因みに儒教徒の多い韓国では仏教徒でも葬儀等は儒教の仕来たりで行うのが多い様である、日本では宗教と言うよりも儒学と呼ばれ伝統思想として扱われた、江戸時代までは官学であり明治以降は忠君愛国教育すなわち国家神道に利用された、因みに儒教を電子辞書(My Pedia マイペデア) では「孔子の教説を中心として成立した儒家の実践的論理思想とその教学」時誦している、confuciianism
儒教は四書五経すなわち論語や易経、を中心に哲学・信仰・倫理道徳基準・政治・儀礼等を論理的に融合した思想で・易・書・詩・礼 ・春秋、即ち経学(けいがく)を修めた者を五経博士と呼ばれた、これ等に論語などを含めて”経書”と呼ばれ官吏の養成組織とされた。
儒教は江戸時代を中心に倫理規範と思惟する人もあるが、当然宗教として確立されている、後述するが日本では儒教から儒学に作り替えられた、小室直樹流に言えば、
儒教とイスラーム教ユダヤ教キリスト教佛教等の個人救済でなく集団救済の宗教である、即ち良い政治に導き結果的に民を救済する宗教と言える、儒教が担当しない病や長寿などの個人救済は道教や佛教が担っていた
(個人救済・集団救済に付いては世界の宗教の後半部の表を参照)
重ねて言えば春秋時代BC770年頃に儀典を司る集団から、孔子によって体系化されたとされる組織である、儒教が重要視されたのはBC二世紀の武帝の前漢時代に儒学を国家教学へと画策した董仲舒(とうちゅうじょ)が抜擢され国教になった頃とされる、儒教の経典を孝経と呼び天子が講説する伝統がある様だ、聖徳太子の著作とされる *法華義疏 *勝鬘経義疏 *維摩経義疏等の三経義疏(さんぎょうぎしょ)の伝承はこの当りが原点かも知れない。
儒教の葬儀は *儀礼(ぎらい)、*礼記、*周礼(しゆらい)」、の三礼に体系化されているが、特異に感じられるのが葬儀場でのプロの泣き女の役割である、儒教では参列者の涙の量が故人の生前の徳を測ると思惟されている様だ。
孔教とも呼ばれ中国では哲学的には儒家思想という、
儒学と呼ばれる事も多く開祖の名を冠にして孔子教Confucianismと呼ぶ人もある、前漢の武帝の時代に儒家の進言で諸教説を基集合して正統教学とした、以後は清時代まで王朝支配と官僚の試験(科挙)教育の為の思想である、小室直樹氏は儒教理解のキーワードは「官僚制度」すなわち高級官僚を作る為の教養を与える宗教とまで言う、小室氏の言うキーワードを他の宗教と比較すると面白い、即ち・キリスト教は予定説(注3)、イスラームはコーラン、・佛教は空であると言う。
官僚の登竜門を越えた科挙合格者の特権は莫大な権力である、県令
(知事)クラスに成ると公金と私財の区別が無くなり租税と賄賂の区別が無くなったと言う、特に首席合格者を状元(じょうげん)と言い大変な出世が出来た、閑話休題パレスチナ・PLOのヤーセル・アラファート議長の場合も公金と私財の区別が無かったとされている。

儒教は・政治・文化の担い手であった知識人の哲学となり、仏教・道教の教説を参考にして教義を完成した、即ち集団救済の儒教に代わって個人救済を佛教や道教が代行したとも言える、従って三教の境界は不明確となり中国人は関帝廟などの同一廟に三教の神々を安置しているケースが多い、小室氏に依れば中国人の死生観には人間の死後、天に昇る「(こん)」と地下に潜る「(はく)」に分かれると云う、それを子孫が祭祀を行い復活させると言う、随って子孫が途絶える事に恐怖を感じる、この恐怖を鎮めるのも儒教が行う祭祀の役割である。
先祖崇拝であるが植木雅俊氏は、説話の大多数は男子出生の逸話で占められている、先祖崇拝の継続には後継者が不可欠である、要するに先祖崇拝は男性のみのものである。
また中国での信仰は教義よりも現世利益に対するプライオリテイー(priority)が高いエトスēthos 習俗 行動様式を持つ為、廟を参詣してお釈迦さまを知らなくても観音菩薩を篤く敬うとの記述がある。
孔子の死後儒教は孟子(もうし)荀子(じゅんし)の二つの系統に分かれる、重ねて言えば儒教の中核には四書五経がある、四書五経とは中国に於ける思想書で、為政者が抱き述べる志すなわち大説(注2を言い、四書とは「論語」「大学」「中庸(ちゅうよう)」「孟子」を言う、五経とは「易経」「書経」「詩経」「礼記」「春秋」を言い、「楽経」を加えて六経ともされる、先祖崇拝の典型に「(もがり)がある、即ち家長等の死に対して三年の間喪に服す事例がある、因みに中庸は仏教の中道に繋がり「天下の大道なり」の記述がある。 
日本が取り入れたのは論語が中心で偏りがある、徳川幕府は所謂儒教を奨励したが教養・道徳としての儒教である即ち儒学に作り替えられた、四書の中にある論語には「子曰く 怪力乱神 を語らず」すなわち超自然現象を論ずる事は無い、要するに国家繁栄と政治を正す事で民衆も救済されると言う集団救済の宗教である、五経の根幹を為す礼記は早々に形骸化して佛教に於ける戒律と同じ道を辿ったと、小室直樹氏は言う

儒教は過去の朝鮮、ベトナム、日本に於ける文化形成に多大なな影響を与えた、特に朱子学は其々の為政者が正統教学と位置付けた。

科挙すなわち中国に於ける高級官僚の試験では儒教の四書五経から出題され道教佛教から出題される事は無かった、科挙の後半すなわち明・清時代には朱熹(1130~1200年)による朱子学(しゅしがく)に偏りを見せた、特に永楽帝(1360~1424年)の時代には国定教科書である「四書大全」「五経大全」が出来たり、皇帝が「八股文(はっこぶん)」と言う模範答案の指導書まで作られた。
一千数百年の歴史を有した科挙はヨーロッパで高い評価を受けたが、科挙制度も腐敗したと言える、小室直樹氏に依れば試験問題が十五世紀、永楽帝の時代に帝自身が問題に介入したためと言われている。

儒教の基本的教義は五倫五常、修己治人、天人合一、世俗的合理主義にある。
重要経典に四書五経の九種があり、四書に大学、中庸、論語、孟子(もうし)、を言う、五経には詩経、書経、礼記、易経、春秋が充てられている。

孔子の時代は詩経、書経、易経であったが、漢代までに礼に関する「小戴礼」を、楽に「詩経」を充当して、儒学の基礎経典としての五経が確立された。
儒教の経典は易・書・詩・礼・楽・春秋の六芸(六経)がある。

儒教は仁、義、礼、智、信、の五常という徳性を拡充し五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)関係を維持する事を教える。

四書五経とは儒教の経書の中で特に重要とされる四書と五経の総称を言い、道教、老荘思想の権威である福永光司(みつじ)1918726日~20011220日)説に依れば中国には二つの文化があり、「南船北馬」即ち大地に関りがある北方は儒教が強く、海に関る南方は道教的との説を提唱されている、四書五経は膨大な量になる、空海は「我の習う所は古人の糟粕(そうはく)なり、なほ益なし」すなわち搾りかすと糾弾している(空海僧都伝)
日本に齎された儒教の孟子のタームの代表に「仁義」がある、また日本では浄土真宗を除く多くの宗派で採用している「位牌」は本来佛教の制度ではなく先祖崇拝を重要視する儒教のものである。
儒教には呪は無関係の様であるが、仏教が釈尊に禁止された呪術を取り入れたように、儒教も後漢の時代には予言や占い等の呪術行為すなわち讖緯(しんい)思想が位置を占めるようになる、儒教は集団救済であり孔子は呪を厳禁していたが、時を経て孔子を神格化する儒者達が力をつける、この讖緯説の流れを受けたのが、道教と境界が怪しくなった陰陽道と言われている。


儒教の基本教義を挙げれば五倫五常(ごりんごじょう)修己治人(しゅうこちじん)天人合一(てんじんごういつ)、世俗的合理主義と言われる。
1、五倫五常 三綱五倫(君臣・父子・夫婦と兄弟・朋友)の身分血縁的関係をあるべき人倫秩序とし、家族組織から政治体制まで貫く具体規定を備える人間関係を支える必要な道徳が、五常(仁・義・礼・智・信)である、五常修得目的に人間論、意識論が議論された。 


2
修己治人(しゅうこちじん) 五常を修養し(修己)、五倫秩序の実現につとめる(治人)不断の教化が、統治層士人(君子)の任務である。

孔子は礼楽文化を先王周公の政教として祖述したが、礼は支配層氏族内部の階層秩序の規定、即ち敬天・崇祖の日常儀礼をともなう父系血縁集団の組織規定であって、いわば祭・政・教一致の秩序規定である。

祖孫・父子の上下秩序を根幹として孝悌道徳によって維持する。 (世界大百科事典・便覧 日立システムサービス)         *工事中

 

 

注1、      儒教で、人間の守るべき五道とは、父子の親、君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友の信。


衆生が善悪の業因によっておもむく五種の世界。地獄・餓鬼・畜生・人間・天上の五つ。五趣。


2、 大説とは為政者(君子)が国家や政治に対する志を著した書籍を言う、通常は四書五経を言う、因みに「物語り」即ち水滸伝や大唐西域記を参考にした西遊記、三国志演義などは小説と言い些か蔑まれている。

3、 予定説とはジャン・カルヴァンが提唱したキリスト教に於ける神学思想で神のサルベージを受けられる者と滅びる者とは予め決められていると言う、「神に依る采配」である予定説は聖書の教えであり正統教理であるが認める教派は多くはない。

注4、 オランダに於ける中国研究の第一人者で「中国の仏教伝来」の著者であるエーリク チュルヒャーの比喩を要約すれば中国に於けるピラミッドの頂点は・道教・佛教・儒教と複数あるが、麓に下るにしたがい混淆して境界は不明になると言う。(儒教、仏教、道教 菊池章太 講談社)。 



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