春秋時代の思想家・孔子(BC551~BC479)
先祖崇拝に対する儀典のプライオリテイー(Priority・優先順位)
中国に於いては道教、仏教と共に三教に数えられる、因みに儒教徒の多い韓国では仏教徒でも葬儀等は儒教の仕来たりで行うのが多い様である、日本では宗教と言うよりも儒学と呼ばれ伝統思想として扱われた、江戸時代までは官学であり明治以降は忠君愛国教育すなわち国家神道に利用された、因みに儒教を電子辞書(My Pedia マイペデイア) では「孔子の教説を中心として成立した儒家の実践的論理思想とその教学」時誦している、confuciianism 。
儒教は四書五経すなわち論語や易経、を中心に哲学・信仰・倫理道徳基準・政治・儀礼等を論理的に融合した思想で・易・書・詩・礼 ・春秋、即ち
儒教は江戸時代を中心に倫理規範と思惟する人もあるが、当然宗教として確立されている、後述するが日本では儒教から儒学に作り替えられた、小室直樹流に言えば、儒教とイスラーム教はユダヤ教、キリスト教、佛教等の個人救済でなく集団救済の宗教である、即ち良い政治に導き結果的に民を救済する宗教と言える、儒教が担当しない病や長寿などの個人救済は道教や佛教が担っていた(個人救済・集団救済に付いては世界の宗教の後半部の表を参照)。
重ねて言えば
儒教の葬儀は *
孔教とも呼ばれ中国では哲学的には儒家思想という、儒学と呼ばれる事も多く開祖の名を冠にして孔子教(Confucianism)と呼ぶ人もある、前漢の武帝の時代に儒家の進言で諸教説を基集合して正統教学とした、以後は清時代まで王朝支配と官僚の試験(科挙)教育の為の思想である、小室直樹氏は儒教理解のキーワードは「官僚制度」すなわち高級官僚を作る為の教養を与える宗教とまで言う、小室氏の言うキーワードを他の宗教と比較すると面白い、即ち・キリスト教は予定説(注3)、・
官僚の登竜門を越えた科挙合格者の特権は莫大な権力である、県令(知事)クラスに成ると公金と私財の区別が無くなり租税と賄賂の区別が無くなったと言う、特に首席合格者を状元と言い大変な出世が出来た、閑話休題パレスチナ・PLOのヤーセル・アラファート議長の場合も公金と私財の区別が無かったとされている。
儒教は・政治・文化の担い手であった知識人の哲学となり、仏教・道教の教説を参考にして教義を完成した、即ち集団救済の儒教に代わって個人救済を佛教や道教が代行したとも言える、従って三教の境界は不明確となり中国人は関帝廟などの同一廟に三教の神々を安置しているケースが多い、小室氏に依れば中国人の死生観には人間の死後、天に昇る「
先祖崇拝であるが植木雅俊氏は、説話の大多数は男子出生の逸話で占められている、先祖崇拝の継続には後継者が不可欠である、要するに先祖崇拝は男性のみのものである。
また中国での信仰は教義よりも現世利益に対するプライオリテイー(priority)が高いエトス(ēthos 習俗 行動様式)
孔子の死後儒教は
日本が取り入れたのは論語が中心で偏りがある、徳川幕府は所謂儒教を奨励したが教養・道徳としての儒教である即ち儒学に作り替えられた、四書の中にある論語には「子曰く 怪力乱神 を語らず」すなわち超自然現象を論ずる事は無い、要するに国家繁栄と政治を正す事で民衆も救済されると言う集団救済の宗教である、五経の根幹を為す礼記は早々に形骸化して佛教に於ける戒律
儒教は過去の朝鮮、ベトナム、日本に於ける文化形成に多大なな影響を与えた、特に朱子学は其々の為政者が正統教学と位置付けた。
科挙すなわち中国に於ける高級官僚の試験では儒教の四書五経から出題され道教、佛教から出題される事は無かった、科挙の後半すなわち明・清時代には朱熹(1130~1200年)による
一千数百年の歴史を有した科挙はヨーロッパで高い評価を受けたが、科挙制度も腐敗したと言える、小室直樹氏に依れば試験問題が十五世紀、永楽帝の時代に帝自身が問題に介入したためと言われている。
儒教の基本的教義は五倫五常、修己治人、天人合一、世俗的合理主義にある。
重要経典に四書五経の九種があり、四書に大学、中庸、論語、
孔子の時代は詩経、書経、易経であったが、漢代までに礼に関する「小戴礼」を、楽に「詩経」を充当して、儒学の基礎経典としての五経が確立された。
儒教の経典は易・書・詩・礼・楽・春秋の六芸(六経)がある。
儒教は仁、義、礼、智、信、の五常という徳性を拡充し五倫(父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)関係を維持する事を教える。
四書五経とは儒教の経書の中で特に重要とされる四書と五経の総称を言い、道教、老荘思想の権威である福永光司(1918年7月26日~2001年12月20日)説に依れば中国には二つの文化があり、「南船北馬」即ち大地に関りがある北方は儒教が強く、海に関る南方は道教的との説を提唱されている、四書五経は膨大な量になる、空海は「我の習う所は古人の
日本に齎された儒教の孟子のタームの代表に「仁義」がある、また日本では浄土真宗を除く多くの宗派で採用している「位牌」は本来佛教の制度ではなく先祖崇拝を重要視する儒教のものである。
儒教には呪は無関係の様であるが、仏教が釈尊に禁止された呪術を取り入れたように、儒教も後漢の時代には予言や占い等の呪術行為すなわち
儒教の基本教義を挙げれば
1、五倫五常 三綱五倫(君臣・父子・夫婦と兄弟・朋友)の身分血縁的関係をあるべき人倫秩序とし、家族組織から政治体制まで貫く具体規定を備える人間関係を支える必要な道徳が、五常(仁・義・礼・智・信)である、五常修得目的に人間論、意識論が議論された。
2、
孔子は礼楽文化を先王周公の政教として祖述したが、礼は支配層氏族内部の階層秩序の規定、即ち敬天・崇祖の日常儀礼をともなう父系血縁集団の組織規定であって、いわば祭・政・教一致の秩序規定である。
祖孫・父子の上下秩序を根幹として孝悌道徳によって維持する。 (世界大百科事典・便覧 日立システムサービス)
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注1、 儒教で、人間の守るべき五道とは、父子の親、君臣の義、夫婦の別、長幼の序、朋友の信。
注2、 大説とは為政者(君子)が国家や政治に対する志を著した書籍を言う、通常は四書五経を言う、因みに「物語り」即ち水滸伝や大唐西域記を参考にした西遊記、三国志演義などは小説と言い些か蔑まれている。
注3、 予定説とはジャン・カルヴァンが提唱したキリスト教に於ける神学思想で神のサルベージを受けられる者と滅びる者とは予め決められていると言う、「神に依る采配」である予定説は聖書の教えであり正統教理であるが認める教派は多くはない。
注4、 オランダに於ける中国研究の第一人者で「中国の仏教伝来」の著者であるエーリク チュルヒャーの比喩を要約すれば中国に於けるピラミッドの頂点は・道教・佛教・儒教と複数あるが、麓に下るにしたがい混淆して境界は不明になると言う。(儒教、仏教、道教 菊池章太 講談社)。
2014年10月15日 世界の宗教