法金剛院

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法金剛院の山号は五位山と言う、830年右大臣清原夏野の山荘を後に双丘寺ならびがおか”に、改修したのが嚆矢とされる,888年近くに御室御所と言われた仁和寺が創建されて寺院町並みが整備された、また妙心寺にも近い。 
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(文徳天皇・天安元年)には伽藍が整備され天安寺を呼称し定額寺となる、最盛期には七堂伽藍が整備され80人に及ぶ僧侶が常駐したと言う、974年火災から衰退した寺を1130年、鳥羽上皇の中宮・待賢門院(たいけんもんいん)璋子(たまこ)が双丘寺(天安寺)を再興して法金剛院と改称したが、瀟洒な庭園を持つ別荘様式に浄土信仰を感得した阿弥陀堂を持つ庵であった様だ。
上皇・天皇・皇族の信仰を受けて諸堂の造営が続いた、また衣笠山を借景とする法金剛院の景観は京都の名所となる。
また花園の地名は法金剛院が源であり、平安時代末期には七堂伽藍・九体阿弥陀堂等を持ち浄土を模した池泉回遊式庭園から観ての地名であろう。
石立僧林賢(いしだてそうりんけん)の作とされる浄土式大庭園を有したと言い植えられた花の景観から付けられたとされる、また枝垂れ桜も見事である。
平安時代
末期から鎌倉時代中盤にかけて衰微したが1282年頃、唐招提寺修広導御(しゅうこうどうぎょ)(法名)すなわち円覚十万上人が勧進活動で復興した、融通念仏で信仰を集めたが後の応仁の乱や地震で堂宇のほとんどが倒壊したものが、近世に幕府の援助や泉涌寺の照珍が四宗兼学の道場として再建された。
法金剛院は蓮など花の寺でもあり、関西花の寺25ヶ所霊場と言う組織の13番札所でもある。
法金剛院の本尊・阿弥陀如来像は院派の代表的な佛師である「院覚」作とされ現存する唯一の作品と言われる、2020年院覚の作と認定され国宝に推挙された 
また当寺の厨子入り十一面観音は玉の瓔珞
(ようらく)を懸けた豪華さで稀有な坐像で四臂である、十一面観音の多くは立像であり坐像(注6は少ない、しかも四臂であり胎蔵界曼荼羅には存在するが彫刻の十一面観音としては稀有であり厨子も造像当初の作品で美しい、因みに多臂の十一面観音は法金剛院(坐像)新長谷寺は四臂(立像)で観音提寺
(三重県伊賀市島ヶ原)の像(立像、無指定)は六臂がある。
また秘仏であるが目に金箔が貼り付けられた丈六の地蔵菩薩が安置されており「金目(かなめ)地蔵」「叶え地蔵」などと呼ばれて・信仰を集めている。
待賢門院は西行(注9が思慕の相手とも言われ、身分違いの高貴むとも 風の(つて)にも聞かじかし 花と散りにし 君が行方を」と詠まれている。

1、関西花の寺二五ヶ所霊場  一番・觀音寺(京都福知山)~二五番観心寺(大阪河内長野市)まであり、 十五番・岩船寺  十六番・浄瑠璃寺  十七番・般若寺  十八番・白毫寺  十九番・長岳寺,等の著名寺院が参加している。  
関西花の寺二五ヶ所霊場会事務局    京都府福知山市観音寺   觀音寺内  TEL 0773-27-1618  FAX 0773-27-4427  

京都の十三仏霊場は、智積院不動明王) ・2清凉寺釈迦如来) ・3霊雲院(文殊菩薩) ・4大光明寺(普賢菩薩) ・5大善寺(地蔵菩薩) ・6泉涌寺(弥勒菩薩) ・7平等寺因幡堂(薬師如来) ・8千本釈迦堂千手観音)・9仁和寺勢至菩薩)・10法金剛院(阿弥陀如来) ・11法観寺(阿閦如来) ・12東寺大日如来) ・13法輪寺(虚空蔵菩薩)の著名寺院が参加していたが、戒光寺と髄心院20147月、霊雲院と法観寺の退会を受けて参加した。

 

2、坐像の十一面観音は少なく 京都府二尊 法金剛院70,0cm ・現光寺74,0cm  ・岐阜県三尊 清水寺84,2cm ・日吉神社二尊27,7cm 22,6cm  ・滋賀県三尊 櫟野寺312,0cm・宗正寺86,1cm・知善院43,9cm  ・千葉県 小松寺60,4cm 銅像   ・兵庫県 達身寺158,3cm   ・大分県 菅尾 各一尊が重文指定を受けている。 

3、円覚上人(1223~1311・えんがく) 鎌倉中期の律宗の僧で壬生寺や法金剛院の中興の祖で勧進のため融通大念仏を行う。
戒律と念仏を老若男女に説き広める、小児や婦女子にまで念仏の妙理を理解させようと始めたのが「壬生狂言」とされる。 
禅宗の祖である達磨・ダルマ(Dharma) 菩提達磨・円覚とは別人。

注4、院覚 (いんかく)  生年没年とも不詳   平安時代の院派の代表的佛師で院助の弟子か息子とされる、1120年~1127年まで院助と共に失脚するが、復帰後に法界寺・法成寺・当院等の造佛に参加、1130年法橋。

5、浄土式庭園   平安時代以降広がりを見せた末法思想の興隆と共に貴族達が寺や邸宅に極楽浄土を観想するために造園された、構成は浄土変相図(浄土曼荼羅)が源のようで池を中心に配置している,
代表的な浄土式庭園に当院・平等院浄瑠璃寺円成寺・毛越寺などがある。
日本に於ける主な庭園様式に*池を中心にした「池泉回遊庭園」、*極楽浄土を観想した「浄土式庭園」、*白砂に波紋をつけ水を表現した「枯山水」などがある。 

6、重要文化財指定の坐像十一面観音の分布は 京都府二尊(法金剛院70,0cm ・現光寺74,0cm) ・岐阜県三尊(清水寺84,2cm・日吉神社二尊27,7cm 22,6cm) ・滋賀県三尊(櫟野寺312,0cm ・宗正寺86,1cm ・知善院43,9cm) ・千葉県(小松寺60,4cm 銅像) ・兵庫県(達身寺158,3cm)  ・大分県(菅尾)各一尊 である。

7 十三仏信仰に対する京都霊場の10番札所に当たる。

8、京都は十三仏信仰が篤く十三仏霊場があり京都霊場の9番札所に当たる 、智積院不動明王)は一番札所となり ・2清凉寺釈迦如来) ・3霊雲院(文殊菩薩) ・4大光明寺(普賢菩薩) ・5大善寺(地蔵菩薩) ・6泉涌寺(弥勒菩薩) ・7平等寺因幡堂(薬師如来) ・8千本釈迦堂千手観音)・9仁和寺勢至菩薩)・10法金剛院(阿弥陀如来) ・11法観寺阿閦如来) ・12東寺大日如来) ・13法輪寺(虚空蔵菩薩)の著名寺院が参加している。

9、西行(11181190)平安時代の歌人で僧侶、諸国を行脚して家集「山家集」を著す、新古今集には94首掲載されている。

   

 律宗     所在地   京都市右京区花園扇野町49       ℡ 075461-9428 

    ●印国指定重文       佛師       表内は国宝 

名    称

適         用

 時  代

 阿弥陀如来 坐像 木造漆箔 224,0cm   院覚作   鎌倉時代 

十一面観音坐像 四臂 木造玉眼 70,0cm 厨子共  鎌倉時代 院派佛師の作風

地蔵菩薩立像 木造彩色 127,2cm 鎌倉時代  翻波式   地蔵菩薩坐像   金目地蔵  秘仏

●僧形文殊坐像 木造 78,0cm  藤原時代(伝賓頭盧尊)


最終加筆日 2005116日    2005年1月4日院覚 2011711日天安寺 2013年9月10日十一面観音4~6臂加筆   


             
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