百万遍 知恩寺   
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京都では「百萬遍さん」で知られており、1080()の大数珠を100回まわす百万遍念仏の儀式で著名な寺である。

山号は長徳山、功徳院と言い、浄土宗の七大本山の一山で通称は百万遍智恩寺、当初は今出川附近にあり「今出川釈迦堂」「賀茂の河原院」などと呼ばれた時期もある、元来は賀茂神社の神宮寺であった、皇円阿闍梨の住房で延暦寺功徳院の里坊で円仁の関与が言われている。 

法然が一時居住し弟子の源智が後継し智恩寺を呼称した、法然の遺跡として祈願所となり禁裏の帰依をうけたが、浄土宗僧侶の出世綸旨(りんし)執奏(しつそう)する権限に関して、知恩院と権力争いが生じたが、徳川家の保護を得た知恩院に敗れ総本山の地位を知恩院に譲る、徳川幕府が知恩院に肩入れした理由として御所を取り囲み監視(1)する、トライアングル(・二条城・知恩院・金戒光明寺)の中心として知恩院を必要としたと考えられる、因みに院の山門から御所の動きが詳細に把握できる。

寺地は豊臣秀吉の京都改造に伴う寺地替で寺町に移ったが、1661(寛文1)禁裏からの火事に類焼し、現在地に再度移転した。

浄土宗(鎮西派)七大本山とは知恩院すなわち華頂山知恩教院大谷寺を総本山として、・増上寺(東京都港区芝公園) ・知恩寺(京都市左京区田中門前町) ・清浄華院(しょうじょうけいん)(京都市上京区寺町通北ノ辺町) 金戒光明寺 ・善導寺(福岡県久留米市善導寺町飯田) ・光明寺(神奈川県鎌倉市材木座) 善光寺本願(長野県長野市元善町)を言う、此の内京都に存在する四ケ寺を「京都(しか)本山」と呼ばれている。

法然の遺徳を偲び誕生から入寂に至るまでの遺跡地を二十五霊場として設定されており多くの著名寺院が参加している、知恩寺は22番札所である。
知恩寺には「大原問答」に参加した法然の御影像がある、梅原猛氏に依れば他の祖師の御影は12種類から模写されているが法然の場合は、後白河法皇に「往生要集」を説いている知恩院の像や、二尊院に於ける「流罪の旅」に出る姿、叡山の法然堂の像など多様であると言う。
 

冒頭で述べたが知恩寺では1080顆の大念珠が掲げられている、毎月15日(8月は25日)に写経会、「百萬遍大念珠繰り」法会は著名である。

閑話休題、世界宗教の共通点の一つに「数珠」と「ロザリオ」がある、カトリック信者・佛教徒の使うロザリオ・数珠はインドを起源としてバラモンが使用嚆矢とされる、中村始著・般若経典に依ればバラモンを介して佛教を初めとして世界の宗教に採用された、ジャバ‐マーラー(japa-māiāと言い、japaは念誦(ねんじゅ)(低音での呪文)を意味しmāiāは輪を意味すると言われる、古代ローマ人などがjapaをジャッパー(バラ)の輪と聴いたと言う、これがロザリオ(ポルトガル語rosario)・ロザリウム(ラテン語rosarium)・ローザリー(英語rosary)・ローゼンクランツ(ドイツ語rosenkranz)などカトリック(ギリシャ正教を含む)やイスラム圏に広がったとの記述(ドイツのA・ウエイバー)がある、但しプロテスタントはロザリオを使用していない。
仏教では「木槵子経(もくげんじきょう)」と言う数珠の効養を説いた経典があり、木槵子(むくろじ)の実を108(顆)束ねて環を作り安寧や安楽の祈願に使用する様に記述されている,イスラムではタスピーフ
tasbihと言い基本的には99顆を環にしている、因みに108と言う数字はインドでは聖なる数の様である、因みに日本では宗派により相違はあるが108顆をベースに半数の54顆、さらにその半数の27顆が多く使用される、念仏を称える回数を数える為に数珠を利用したのは、浄土五祖(注2の第二祖観無量寿経の解説書を著述した道綽(どうしゃく)が嚆矢とも言われている。
佛教以外で組織の長を隠語的に親玉と呼ぶ事があるが、語源は数珠の中心となる最も大きな玉を「親玉」と呼ばれている事からである。
 

 

 

蝦蟇鉄拐(がまてつかい)    

●善導大師像  

●十体阿弥陀仏像 絹本着色  

仏涅槃図 絹本着色

浄土曼荼羅図 絹本着色


1、 御所を監視する徳川幕府のトライアングルとは・二条城・金戒光明寺・知恩院で御所を取り囲める。

2
 浄土五祖とは中国僧の曇鸞(どんらん)道綽(どうしゃく)・善導・懐感(えかん)少康(しょうこう)を言  

浄土宗 大本山     所在地 京都市左京区田中門前町103

 

 

 

 

 

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