念仏宗三寶山無量壽寺     
                       説明: C:\Users\Owner\katada202\kyoto\button1.gif             仏像案内      寺院案内     真言宗     密教 
 

二十一世紀に入り佛教系の宗派で「念佛宗」と言う宗派が活動している、兵庫県加東市にある「念佛宗三寶山無量壽寺」を総本山「佛教之王堂」としている仏教系浄土門を標榜する単立宗教法人である。 
一切経・浄土三部経
(注4と偽経である父母(ふもお)(んじゅ)()(ぎょう)(注1を、依経としている様である、中国で製作され道教哲学を取り込んだ父母恩重経を依経とする宗派は、日本では禅宗系の寺にはあるが、念仏宗系で依経とする宗派は五百羅漢像の重視を含めて当寺以外存在しない、門外漢が強いて理論付ければ「浄禅一如」と言うべきか、要するに禅宗系と浄土・念仏系との通底は不詳である、観無量寿経には三善すなわち三福を尽くせがある、内容は「父母に孝養を」「師や年長者を敬う」が強調されており父母恩重経を重複させる意味が不詳である

羅漢像に付いても徳島県三好市の雲辺寺四国霊場六十六番札所)にある中国福建省の赤岸鎮の五百羅漢院を模したとされる五百羅漢像を凌いでいる、中国で興った禅宗は老荘思想と習合して大乗仏教に無い阿羅漢信仰が復興したものであり念仏哲学との習合は無い。

京都市右京区嵐山に本部を置き、197912月に単独宗教法人として京都府から認可された仏教系教団である、親鸞の長男とも言われ絶縁された善鸞の行を模した儀式が多いとされるが融通念仏宗浄土宗真宗浄土真宗時宗との関連は絶無である。

  
知人に誘われて浄土系の寺院と考えて参詣したが、いきなり浄土系寺院には存在しない実物大の五百羅漢像
(禅宗系には存在する)に出会う、さらに五重塔、聖徳太子殿などに驚かされる、因みに浄土宗や浄土真宗に五重塔の建立や五百羅漢を祀る寺を知らない、概ね念仏宗系の宗派では親鸞の真意、改邪鈔曰く『造像、起塔等は弥陀の本願にあらざる所業なり』とする宗派が主流である。  
四十五万坪を超える境内には本堂、観音堂、釈迦堂、地蔵堂、山門、聖徳太子殿、五重塔、鐘楼、経蔵、廻向堂、奥之院等で構成されている。
巨大伽藍群には一万点を超える彫刻にうめられ質量とも超弩級である、代表例を挙げれば山門は総高35.6m、間口34.5m、奥行13.8mで、21世紀まで日本最大の山門と言われる知恩院の総高24.0m、を遥かに凌ぎ金剛力士像の像高は不詳であるが東大寺
842.3cm)の南大門に於ける快慶運慶達の作をサイズでは遥かに超えている、そこに懸かる扁額のサイズは日本最大であり高さ5.25m、幅3.15mと言う、因みに東大寺の国宝・南大門の総高は25.46m、高野山金剛峯寺大門の総高は25.1mである 

本堂の総高は51.5m、間口67.9m、奥行58.2m六手先と四手先総詰組様式の混合と言う巨大な規模を持つ、因みに東大寺大仏殿は総高46.8m、間口57m、奥行50.5mである、鬼瓦のサイズは高さ9m、幅8.8m、前面の石灯籠は高さ12m、幅7.4mでギネスブック認定の巨大サイズを誇り、各伽藍・仏像などには金箔二重貼が施されている、また羅漢公園には実身大で全尊が揃う五百羅漢像、中腹には念仏宗系寺院には存在しない極彩色に彩られた五重塔32.7m、二棟の巨大な鐘楼には二口の梵鐘48トン京都方広寺(京都市東山区)82トン、知恩院の70トンに次ぐ重量である、その他八角堂(聖徳太子殿)等々寺院としての規模及び材質に於いては豪勢を極めており、潤沢な資産を持つ信者等の寄進で総工費600億円とも言われる、更に関東地方にも巨大な拠点を建設されていると言う。

宗教法人は1992年に京都市西京区嵐山山ノ下町で「念佛宗三寶山無量壽寺」として登録されている、開祖は久世圓心定(本名福井真尚)と言い真言宗の僧籍を所持していたとされる、現在の法主は郡 真海と名乗り大阪医科大学講師を体現した医学博士である。
日本の佛教界は十三宗派で構成されているが、念佛宗に於いてはは十四番目の宗派と呼称しているが日本仏教界からは
オーソライズauthorizeされていない。
念佛宗は念仏信仰のはずであるが、
七世紀中盤インドに於いて西遊記で著名な
玄奘三蔵が戒賢に師事して学んだナーランダ那爛陀・Nālandā寺院(大学)が境内に建設中であり教義上に於いて玄奘600~664年)の成唯識論と念仏思想とは有耶無耶と言うか、二律背反すなわち両極に位置する論理であり接点が見出せない、玄奘の後にナーランダ寺で学んで帰国後に「金光明最勝王経」等を翻訳した義浄635~713年)とも同様である、また念仏と言うタームは真宗の浄土五祖の三祖である善導が義疏に用いた語彙であり浄土三部経の原典に念仏に関するタームは観られ無い
因みにナーランダ寺Nālandāとは北部インド佛教の最重要拠点であった処である、那爛陀(ナーランダ)とは智慧のシンボルである「蓮のある場所」を意味するが、那爛陀に於いて念仏に関する論理的な研鑽が為された記録は知らない、玄奘の師とされる戒賢(silabhadra・529~ 645年)は玄奘がナーランダ寺で学んだ頃、寺最高責任者で唯識及び仏地経の碩学であり念仏宗との関連が解らない、六世紀以降チベット仏教ではナーランダー寺の学僧・シャーンタラクシタŚāntarakita?787年頃)とカマシーラがチベットを訪れて・上座部・大乗・密教を伝えているが念佛の哲学は無い、インドには阿弥陀如来像で現存する仏像は存在しない
因みに玄奘が五か年を費やしてナーランダで修学した法は瑜伽師地論(ゆがしちろん)Yogācārabhūmi-śāstra ヴィジュニャーナヴァー ヨーガーチャーラ・ブーミ・シャーストラ「瑜伽唯識論」Vijñānavāda ヴィジュニャーナヴァー)は無論の事、「順正(じゅんしょう)理論」「顕揚(けんよう)論」「阿眦達磨(あびだつま)」「因明(いんみょう)」「声明」「集量(じゅりょう)」「中論」「百論」「倶舎論」「六足(ろくそく)阿毘曇(あびどん)」等々に及ぶ
大乗佛教Mahāyāna buddhismは無論のこと、上座部佛教theravāda)、密教Tantrismをも取り込んでいる様子が覗える、現在他の既成佛教教団からは「秘事(ひじ)法門(ほうもん)」とか「異安心(いあんじん)」と解釈されている様である、これは一般論であるが井沢元彦氏に依れば「宗教とは理屈に合わない事を信ずる事」と両断する、井沢説は大変乱暴な記述であるが図星を射ている様である、但し般若心経の色vs空、や煩悩vs菩提の様に相容れられる関係に無い事例が融和する「不即不離(ふそくふり)」と言う事かもしれない根底には大衆迎合主義すなわちポピュリズムpopulismがある
しかし上記の教義は浄土三部経とは明確に内容的にもコンフリクトconflict即ち二律背反(独、Antinomie・アンチノミー)である、法然は1190年の
東大寺に於ける講説に於いて往生の奥義は浄土三部経と高説しているが念仏宗に於ける法然の位置付けは不詳と言える、ここで親鸞の改邪鈔を追記しておく、「造像起塔等は弥陀の本願にあらざる所行なり」と述べている、「逆謗(ぎゃくぼう)闡提(せんだい)」「増上慢(ぞうじょうまん)」の範疇に入る人々の組織を言うのかも知れない。
カンボジアのシアヌーク元国王とコミットしている様子であるが、クメール人(カンボジア人)の佛教はheravāda 即ち上座部佛教であり風土文化が異なる、上座部佛教に念佛哲学は無い、念佛思想は中国で興り日本に招来された佛教である、念仏宗は融通無碍(ゆうずうむげ)に変化が出来よう。
説法を拝聴していないが、実在論を肯定している様な宗派かもしれない、長野県の善光寺四方の門、すなわち「四門四(しもんし)(がく)」の内で、南門の扁額には「(なん)命山(みょうざん)無量壽寺」の文字があるが関係は無い、更に真宗高田派の本寺すなわち専修寺の別称に無量壽寺、や融通念仏宗の総本山、大無量寿寺の呼称があるがこれ等も無関係である。   


 所在地 兵庫県加東市上三草1136番地     0795-44-1800       単立宗教法人  

 

1 父母恩重経 正式には「佛父母恩重難報經」と言い、中国製の所謂偽経で安世高訳等があるが、鳩摩羅什の訳が一般に使われている、儒教的な教義で要点として親の恩を十種に集約している、懐胎守護の恩、 臨生受苦の恩 生子忘憂の恩、 乳哺養育の恩、 廻乾就湿の恩、 洗潅不浄の恩、 嚥苦吐甘の恩、 為造悪業の恩、 遠行憶念の恩、 究竟憐愍の恩、である。

 

2、ナーランダNālandā寺院とは427年インドのビハール州に創建された、西遊記で著名な玄奘三蔵が「成唯識論」等を学んだ僧院(大学)である、インド仏教の中心的存在で最盛期には1万人の学生と1,500人の教官がいたされ、竜樹nāgārjunaも講義したとされインド佛教の最重要拠点であった、奈良佛教の古刹である・薬師寺興福寺・京都の清水寺唯識(法相宗)の寺である、念佛宗の隣接地に創められたナーランダ僧院とインドのナーランダ寺とは異なるものと言える。
戒賢とはŚīlabhadra 唯識論の碩学で、ナーランダ大学の学長として「正法蔵」と尊称された、戒賢の晩年に長期留学の玄奘に唯識を伝授する。


3、梵鐘のサイズに付いて、寺のresumeには世界最大級の記述があるが、現時点に於ける世界最大と思惟される梵鐘は、2007年に完成した中国寒山寺の梵鐘で、全高8.608m、径5.242m、総重量108屯と言われているhttp://www.carillon.co.jp/china2.htm・世界名鐘物語参照)  

 

4、 浄土三部経 観無量寿経は機の真実を説き、大無量寿経は法の本願を説く、阿弥陀経は機+法を合わせ説くとされている。

注5、 一般論として地獄は実在しない、地獄とは衆生を導くための譬え話すなわち仮設として語られる事はある、仏教の蘊奥とされる「実在論の否定」以前のレベルと言える。 
   

                 
    広大な境内の一部分                    知恩院を規模に於いて遥かに凌ぐ規模の山門      東大寺南大門の像を高さに於いて凌ぐ金剛力士 




201349日更新  

 

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