山号は檜尾山と言われ、寺伝に拠れば八世紀初頭の創建とされる、七堂伽藍を持ち播磨(兵庫県西南部)の法隆寺と呼ばれているが当初は雲心寺と呼ばれたらしい。
観心寺「勘録縁起資財帳」に拠れば創建は空海の十大弟子の筆頭である実恵と記されているが孫弟子の真紹との説もある。
観心寺は869年定額寺に加えられる、真言宗初期の仏像・仏画・仏具が存在したとされており本尊で密教
百寺巡礼の折に観心寺を訪れた五木寛之氏は文献には官能的、豊艶、等々形容されるが、写真を見た瞬間あまりの妖艶さに声をあげそうになったと言う、ーーーー但し如意輪観音は聖観音菩薩の変化した菩薩である、梵語の観音菩薩は「アバローキテーシュバラ(avalokiteśvara bodhisattva)」と言われ貴族、勇者を意味する男性名詞であると中村始氏は言う。
観心寺の国宝・金堂は灌頂堂としての機能も持ち須弥壇の両脇には両界曼荼羅を描いた板壁を持つ、構造様式も禅宗様・大仏様・和様夫々取り入れながら全体としては和様に仕上げられた傑作で国宝に指定されている,その他重文指定の堂宇や仏像群が壮観である、また808年に空海が勧請したとされる北斗七星を奉る七つの星塚等もある。
又観心寺は南朝系との関連が在り後醍醐天皇・後村上天皇や、幼少時観心寺で学んだ楠木正成の関与が確認できる、特に愛染明王は正成が後醍醐天皇から下賜され観心寺に奉納したとの伝承がある。
当寺は星の寺とも言われるが花の寺でもあり、関西花の寺二十五ヶ所霊場があり観心寺は25番札所である、大阪府には約3400ケ寺の寺院があり、愛知県(約4600ケ寺)に次いで2番目の数を有する。
注1、 日本三如意輪観音とは
○観心寺 木造彩色108,8cm 平安時代
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●室生寺・灌頂堂の如意輪観音像を言う。
注2、 七堂伽藍 通常 ・塔・金堂・講堂・中門・南大門・回廊・経蔵の配置を言う、但し禅宗に於いては山門・仏殿・法塔・僧堂・庫院・浴室・東司を言う、 梵語のサンガーラーマ(saṃgārāma)の音訳で僧伽藍摩と言い、七堂伽藍の七は総てが揃うという意味で数には拘らない,金堂・塔・講堂・回廊・経蔵・鐘楼・僧房・食堂・等を言う、また禅宗では・山門・仏殿・法堂・方丈・僧堂・浴室・東司等を言うが寺院に依り構成は異なる。
三門(山門)とは覚りの佛界と娑婆との境界を言う、三門と山門は当初は意味合いを異にしており三門は三つの門即ち南門・東門・西門を言う、また中央に大門を置き左右に小門を配置した、後に左右が廃止されても三門と呼ばれた。
また山門は正門を意味している、山岳寺院の多い禅宗系では山門と呼称されている説と、菩薩の悟りの境地を言い・空解脱・無相解脱・無(願)作解脱の三解脱門(三乗すなわち声聞・縁覚・菩薩の通る門)の略称とされる解釈とがある。
注3、関西花の寺25ヶ所霊場 1番・観音寺(京都福知山)~25番・観心寺まであり、 十五番・岩船寺 十六番・浄瑠璃寺 十七番・般若寺 十八番・白毫寺 十九番・長岳寺,等の著名寺院が参加している。
関西花の寺二五ヶ所霊場会事務局 京都府福知山市観音寺 觀音寺内 TEL 0773-27-1618 FAX 0773-27-4427
高野山真言宗 所在地 大阪府河内長野市寺元475 ℡ 0721-62-2134
主な文化財
○金堂 桁行梁間7間 入母屋造 本瓦葺 室町時代
○観心寺縁起資材帳
(金堂)
○如意輪観音坐像 木造彩色 108,8cm 平安時代 秘仏 毎年4月17日・18日開扉
●不動明王坐像 木造 93,9cm 平安時代 秘仏
●愛染明王坐像 木造彩色 108,5cm 鎌倉時代 秘仏
●多門天立像 木造彩色 144,7㎝ 平安時代
●持国天立像 木造彩色 151,0cm 平安時代
●広目天立像 木造彩色 148,0㎝ 平安時代
●増長天立像 木造彩色 149,0㎝ 平安時代
(霊宝館)
●釈迦如来坐像 木造漆箔 81,8cm 平安時代
●薬師如来坐像 89,4㎝ 平安時代
●宝生如来坐像 木造漆箔 110,6cm 平安時代
●弥勒菩薩坐像 木造漆箔 108,4㎝ 平安時代
●聖観音立像(六尊内三尊奈良博他寄託) 木造彩色 163,5-170,2cm 平安時代
●十一面観音立像 木造彩色 169,0cm 平安時代
●如意輪観音坐像 木造彩色 57,8cm 平安時代
●地蔵菩薩立像 木造彩色 165,7㎝ 藤原時代
●釈迦如来半跏像 銅像鍍金 19,5cm 天平時代
●観音菩薩立像 銅像鍍金 33,3㎝ 白鳳時代
●如意輪観音菩薩立像 銅像鍍金 19,2cm 天平時代
●厨子入愛染明王坐像 木造彩色 玉眼 6,2cm 鎌倉時代
●厨子入僧坐像 木造彩色 37,8cm 唐招来
●建掛塔 桁行梁間3間 茅葺 室町時代
●訶梨帝母天堂 1間 春日造 (鎭守堂)
●書院 桁行7間 梁間5間 入母屋造 本瓦葺
●燈籠 鋳鉄製 H227,9㎝ 鎌倉時代1233年の銘
●大隋求菩薩像 絹本著色 掛幅装 104,2:58,5㎝ 鎌倉時代
●中尊寺経 216巻(金銀字経166巻、金字経50巻) 他多数
霊宝館12月―2月は要予約