(らく)野寺(やじ)

                            仏像案内    寺院案内     最澄

 

甲賀六大寺の一寺で当地方に於ける天台宗の中心寺院としての存在をなしている。
「通称・いちいの観音」と呼ばれ伝承によると792
最澄が根本中堂建設にあたり木材を探して当地を訪れ、櫟(いちい)の木に「立木仏」十一面観音を彫った事が嚆矢と伝えられる、因みに立木仏とは霊が宿るとされる古木を霊木と崇めて感得した像を彫るもので他に福井県若狭町安賀里33-1にある、諦応寺(たいおうじ)の立木仏、通称・銀杏(いちょう)観音が著名である。
源頼朝・坂上田村麻呂等の援助で繁栄するが桃山時代の兵火にあう、1968年には本堂を焼失するが仏像は収蔵庫にあり無事。当寺は優れた仏像の宝庫であり、特に本尊の十一面観音は比較的少ない坐像
(3参照)312cm(長谷寺は立像で1018cmあり日本最大級のサイズを誇る。
甲賀地方は天台宗寺院の中でも優れた文化財を残しており当寺は善水寺と共に、質量とも天台宗に於ける仏像の宝庫である。


1、十一面観音(秘仏)1月1日〜3日、 418日、 89日、 1018日、113日 開示  (重文指定を受けた坐像は十一面観音の注5、参照)


2、坂上田村麻呂 758811 平安時代の優れた武将で渡来系の東(倭)漢の子孫。804年征夷大将軍に任じられ中納言・中衛大将・右近衛大将・大納言を経て正三位、娘は桓武天皇の後宮に入る。

観音信仰に篤く清水寺の創建に関与、東北地方にも田村麻呂関与の観音堂・毘沙門堂がある。


3、坐像十一面観音の重文指定像分布は 京都府二尊(法金剛院70,0cm ・現光寺74,0cm) ・岐阜県三尊(清水寺84,2cm・日吉神社二尊27,7cm 22,6cm) ・滋賀県三尊(櫟野寺312,0cm ・宗正寺86,1cm ・知善院43,9cm) ・千葉県(小松寺60,4cm 銅像) ・兵庫県(達身寺158,3cm) ・大分県(菅尾)各一尊 

4、 湖国十一面観音霊場 滋賀県に於いては十一面観音の故郷とも言える程多くの寺院が有り、湖南東方面・大津・守山市を中心に11寺で構成されている。

1、 園城寺       2、 盛安寺       3、 聖衆来迎寺    4、 福林寺       5、 東門院       6、 正福寺  7、 伊勢廻寺      8、 櫟野寺       9、 石馬寺       10百済寺       11金剛輪寺 

その他湖北地方には向源寺石道寺鶏足寺・医王寺・充満寺・知善院(長浜市)・善隆寺(西浅井)等に優れた十一面観音が安置されている。 

    

天台宗   山号・福生寺        所在地  甲賀郡甲賀町櫟野1377       0748-88-3890

 

 

主な文化財

十一面観音坐像 木造漆箔 312,0cm 藤原時代 (秘仏)

十一面観音立像 木造漆箔 彩色 167,4cm 藤原時代 

聖観音立像(二尊) 木造漆箔 彩色 180,0cm 168,2cm 藤原時代  

薬師如来坐像 222,0cm 藤原時代 

毘沙門天立像 木造 163,0cm 藤原時代 

地蔵菩薩立像 木造漆箔 彩色 97,1cm 藤原時代 

吉祥天(三尊) 木造漆箔 彩色 100,0cm105,4103,9cm 藤原時代 

地蔵菩薩立像 木造漆箔 彩色 110,8cm 藤原時代 

聖観音立像(五尊)97,0-115,1cm 藤原時代 

十一面観音立像(二尊)木造 漆箔 彩色 97,9-95,4cm 藤原時代  


最終加筆日2004817日 2016115日   

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