浅草寺

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山号を金龍山(きんりゅうざん)・寺名を浅草寺(せんそうじ)と言い浅草の観音さま、として著名な寺であり、日本三大観音(注1の一寺であるが知名度は他の観音霊場を遥かに凌駕している、浅草寺は年間を通じて数千万人の参拝者や観光客が集まり、鎌倉時代から関東随一の知名度を誇る観音霊場であり雷門(かみなりもん)正しくは風雷神門(ふうらいじんもん)に於ける周辺の賑いは他の追従を許さない。
参拝者の数は日本一であろう三千万人をかなり上回る様である、因みに雷門大提灯の両脇の像は風神と雷神である、浅草寺には四天王の内の二尊、1884年に鶴岡八幡宮から奉納され、罹災するが現在は1957年に上野寛永寺から送られた増長天と持国天がいる二天門(以前の名は随身門)がある、二天門の近くに神に祀り上げられた漁師兄弟等を祀る浅草神社がある。
浅草寺は
坂東三十三所の十三番目札所であり、比較的由緒のある古刹霊場の多い中でも稀に見る規模を誇り、浅草の門前町(寺内町)の盛り場は古くからの庶民の娯楽芸能の中心地であった、また雷門から仲見世をすぎた処の宝蔵門も著名である。  「武蔵国浅草寺縁起」等の伝承に拠れば歴史は古く7世紀前半に漁師の兄弟の魚網に純金の小さな観音像5.5cm弱)が入っていた事が寺の起こりとされ、645年勝海上人の開基とされる、857年には延暦寺の三代座主・円仁により、規模が拡大されてかなりの大寺院であったと思惟される、鎌倉時代の歴史書とも言える吾妻鏡(あづまかがみ)に依れば12世紀後半、鎌倉に鶴岡八幡宮造営の時に浅草から宮大工を招集しており、浅草には規模の大きな伽藍が集合していた事が覗える。   

鎌倉時代には幕府の帰依もあり坂東最大の観音霊場として栄える、境内には東照宮も置かれ徳川時代には幕府祈願所となるが、五代将軍・徳川綱吉の生類憐みの令に批判的であった事から幕府や寛永寺の強い監視・制約を受ける、しかし1719年に「十万人講」を興す等、江戸の大衆に支持された観音霊場はその後も揺らぐ事は無かった。  

伽藍は関東大震災に於いては罹災をまぬかれるが、第二次世界大戦で灰燼(かいじん)に帰す。  

現在の堂宇は本堂が1958年・五重塔は1973年再建である、本尊は”聖観音菩薩”であるが絶対秘仏であり衆生の目に触れる事は無い、ちなみに絶対秘仏とは開扉日を決めて行われる秘仏と違う、但し浅草寺は東京空襲だけでなく十数回も火災を経ており観音菩薩像の存在は疑わしい、現在絶対秘仏とされる尊像は東大寺二月堂の十一面観音菩薩 ・浅草寺の聖観音菩薩 ・善光寺の善光寺如来である、閑話休題絶対秘仏とされる本尊と同一サイズの観音菩薩が徳川幕府から奉納されており、この像が本尊として安置されている可能性が高い、但し「柳の御影」「お前立ち」と呼ばれる尊像は不定期に開扉されている、因みに柳の御影と呼称される御影図は寺院内で頒布されており、伝承であるが円仁が本尊を礼拝して刻んだという版木から刷られた事になっている。  

宗派に付いては当初は天台宗であったが、1950年に「聖観音宗」として独立して総本山となる、なお伝法院には遠州流の回遊式庭園がある。
明治維新までは神仏習合の場所であり浅草神社があり漁師の兄弟と郷司の土師中知を祀り例祭に三社祭りがある、縁日の関連では観音菩薩の功徳日である七月十日の「四萬六千日」参りの人気が高い、即ち一日の参詣で百二十年間毎日参詣した事になるとされている、一度の参詣で千回の結縁を結ぶ「千日参り」「千日詣」と呼ばれる会が東大寺(八月九日)や善光寺(七月十日)にあるが佛教では類似の行為がよく見られる。 
浅草寺の観音堂には著名人の絵馬や書があり、の円山応挙狩野探幽とともに江戸の三大画壇の一人と言われる「谷文晁」、・江戸名所図会の「長谷川雪旦」 ・浮世絵師の「歌川国芳」 ・「山岡鉄舟」 ・「勝海舟」等の作品が見られる。
浅草寺縁起の中に飛鳥時代の伝承を描いた狩野氏信の筆になる漁師の兄弟が網
(中に観音像)を撃つ絵が寺に所蔵されている。
 


 
 宗派  聖観音宗     本尊 聖観音菩薩   所在地 東京都
台東区浅草2-3-1    



浅草寺の文化財  


法華経 伝小野道風筆 

●一切経(元版)・尊円法親王筆愛染法がある。
 




注1、 日本三大観音

*浅草寺  
(金龍山浅草寺)      東京都台東区浅草2-3-1

*大須観音(北野山真福寺・寶生院) 名古屋市中区言大須22147        

*津観音 
(恵日山観音寺)       三重県津市大門3219     



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2005216日 2010112 日一部 2015107日 2017年6月4日 10月11日 2019年3月23日加筆

 

  

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