烏枢沙摩(うすさま)明王

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烏蒭沙摩明王は、梵語名 ucchuma(ウオッチシュマ)の音訳で・烏蒭沙摩明王 ・鳥枢渋摩(うすさま)明王 ・穢跡(えせき)金剛 ・不浄潔(ふじょうけつ)金剛 ・(かず)金剛など多くの呼び名や表記が存在する。
信仰する教団は天台、真言の密教教団は無論の事、禅宗、日蓮宗にも及んでいる、
歴史的には古くインド仏教では火の神アグニ(火天)烏蒭沙摩明王を指している。
敦煌壁画にも見られが不浄潔金剛の名称があるように日本では穢れを清める、即ち不浄避けの明王として主に寺院などの東司
(便所 toilet等にも置かれた、不浄諸悪を禊ぎする効能を持つとされ菩薩が覚りを開く為の修行中に諸悪からの防御の役割をする、依経とされる密教系経典に「大威力烏枢瑟摩明王経」がある
特殊な祈祷として「烏蒭沙摩変成男子法」と言う秘法がある、政権争いに利用されたと言う説もあるが、多くは妊娠中の胎児を女児でも男児に変える願いを込めた呪術が密教寺院で行われた、因みに平家物語には建礼門院も安徳帝を身籠った折にこの秘法を加持されていたと言う、安徳帝は1185年4月25日(寿永4年)壇ノ浦で崩御(ほうぎょ)した、
女性の胎内にやどされた胎児を男児に性転換する為の秘術と言える修法がある「烏蒭沙摩変成男子法(うすさまへんじょうなんしほう)」と言い、この信仰は中宮安子・冷泉(れいぜい)天皇、建礼門院・安徳天皇のペアーを初め貴族信仰も一部見られたが、多くは庶民による信仰である。

姿型的には1面の場合三眼が多く2468.臂など多様で手には輪宝・弓矢・剱・三鈷杵を持ち臂に蛇を纏い、火焔後背、虎皮を腰に巻くが持物も多様である、禅宗系に於いては東司すなわちWCに奉られている。

天台宗に於いては円珍請来の五大尊像から金剛夜叉明王に替わり五大明王の一尊である、その為に金剛夜叉明王と同尊又は対と解釈される事がある、また浄土宗に於いても鳥枢渋摩明王の供養会が行われている、因みに五大明王の信仰は中期密教の信仰らしくインドには見られない、軍荼利明王鳥枢沙摩明王の尊挌は発見されていない。
彫刻や絵画に於いても五大尊像は比較的少ないが来振寺(きぶりじ)(下述)の絵画では国宝指定を受けており著名である。

真言  オン クロダナウ ウン ジャク 

 

●京都国立博物館 絹本著色 78,1cm×48,1cm 
来振寺 絹本著色   不動明王 降三世明王 軍荼利明王 大威徳明王 鳥枢沙摩明王 五幅 各1400㎝×880㎝  平安時代 


   来振寺 鳥枢沙摩明王

注1、鳥蒭沙摩明王との表記が多いかも知れないが同尊である。 



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