道教とは「
1993年中国の湖北省郭店村の墓の中から多量のbc4世紀頃の
農耕社会に多い三清像すなわち *太清道徳天尊 *玉清元始天尊 *上清霊宝天尊、 *関帝聖君(関羽)等々多様な神が存在している、儒教 佛教と並び中国に於ける三大宗教の一教である、道に付いての解説に竹簡や木簡の「道徳経(老子)」があるが、道とはに対する解説は無い様である、また著作年代も不詳である、また天帝に対しても詩経や書経等に現れるが、天は高きにあり道は低きにある、との記述はある。
道教の世界では新しい神を生み出す行動様式エトス(ethos)がある、従って高い文化とプライドを有しながら、仏教をも取り込める組織と言えよう、また仏教経典の漢訳者も道教のタームを利用した様である。
1985年に公開された香港映画「霊幻道士」のキョンシー(死体妖怪・殭屍先生、 注5)で馴染みの人もあるかも知れない、古い例を挙げれば牡丹燈籠(燈記)の幽霊(
道教は儒教に対するライバル的な面があり、規範に忠実な儒教に対して「自然のままに」を標榜している、その土地で生まれ育った「
道教は仏教や儒教と違い日本では表層に現れる事は無かったとの記述があるが、佛教の招来と時を同じくしている。
”福、禄、寿”(注7)と言う御利益を求める道教の組織的な調査研究は歴史が浅く百年を満たないといわれるが、思想は二千年以上前から存在したが始祖及びその年代は不詳である、但し1993年に湖北省の墓の調査でBC四世紀頃の老子に関連する
道教と言うタームは老子が著したとされる道徳経が嚆矢である、因みに道徳経の成立過程と老子の関わりも定かではない、しかし道教は万物の仕組みを説く「老子道徳経」を依経としている比率が高い、一説には「
道教とは間口が大変に広い、老子は道に付いて語るが「タオすなわち道とは何か」には定義していない、「道には永遠に名が無い」とまで言う(道教の世界、菊池章太、講談社)、しかし端的に言えば現世利益の「福、禄、寿」すなわち、気の宗教であり日本の習俗に多大な影響を与えている、詳細は下述するが一例を述べれば
仏教が中国に伝えられたのは1世紀頃で上座部仏教であり道教と共通のタームを使い浸透した、従って仏像の請来は大乗仏教の時代からと言える、大乗仏教との交流は一般の在家には境界が不明確な程に頻繁であり、特に禅宗の文化哲学を踏襲している、三教一致・三教一論等々共通点を言われれが、仏教と道教等とは基本的な相違がある、即ち道教は子孫を残して先祖の祭祀を絶やさないことが孝行に繋がるが、仏教は出家する為に子孫は残さない為に大きなギャップが生じていた。
「道蔵」(仏像経典の大蔵経に相当する)と言う経典を持ち、不老不死を標榜し神仙術(
但し仏教に於いても特に密教は不空等により著しく変質した、国家権力に迎合して「仁王護国般若波羅蜜多経」「文殊師利菩薩根本儀軌経」「葉衣観自在菩薩経」等、梵語原典に無い国王守護・護国等が記述されている、因みに不空の孫弟子が空海である。
一応最高神は三清すなわち*
・元始天尊・霊宝天尊(太上道君・道の神格化)・道徳天尊(
中国に於いては道教・儒教・佛教の三教は頂点は独立して別々であるが、底辺に於いては共有化して境界は無い、三教調和的思想が強く関帝廟等を訪ねても三教の尊像が祀られている、五木寛之氏の百寺巡礼(巻2 講談社)に依ればシンガポールの、ある礼拝施設には ・イスラーム教 ・キリスト教 ・仏教 ・儒教 ・道教の礼拝所が混在していると言う、中国に・仏教 ・儒教 ・道教が同じ廟、日本に ・神道 ・仏教が同居する事に異常を感じるのは一神教の影響と言えよう。
因みに
道教では寺院に相当する施設を「観」「宮」「廟」等と呼ばれるが、一般には佛教、儒教、道教の境界は曖昧で三国志演義の英雄・關羽を奉る關帝廟などでは三教の神々は混成して奉られている、道教には二大宗派がある、華南に多い「正一教派」と華北すなわち北京を本拠とする「全真教派」である、因みに正一教派は在家者が大勢を占めて呪術儀礼を行っている、全真教派は基本的には出家主義で道観と言う施設で行を行う。
概ね老子から始まる道教の看板思想に老荘思想であるが福永光司(1918年7月26日〜2001年12月20日)説に依れば中国には二つの文化があり、「南船北馬」即ち大地に関りがある北方は儒教が強く、海に関る南方は道教的との説を提唱されている。
儒教は・政治・文化の担い手であった知識人の哲学となり、道教・仏教の教説を参考にして教義を完成した、即ち集団救済の儒教に代わって個人救済を道教や佛教が代行したとも言える、従って三教の境界は不明確となり中国人は霊廟・
キリスト教の多くにマリア崇拝があり、ヒンズー教では カーリー(梵語 Kālī) 、ドゥルガー(梵語durgā) 、クマリ(Kumari Kumari Devi)、仏教に於いては観音菩薩を女性化し、優しく包み込む女性信仰がある、道教にも
現在の中国大陸に於ける道教は機能していない、理由は道士の総てが中国共産党が掌握する「中国道教協会」に入り共産党の指示に従う事を義務付けられている、
道教は日本に与えた影響を挙げると、「修験道」「陰陽道」「漢方医療」「鬼門説」、だけでなく「六曜(歴注の内)」、「
儒教との相違を敢て挙げれば、規範に従って行動する儒教に対して、道教は自然のままを重視している即ち水の様に生きる「
日本に於いて道教の影響を受けたものに、”六曜説”、”地鎮儀礼” ”雨乞い” ”
道教に於ける出家者は道士と呼ばれ女性の場合は
平安京は道教の範疇にある風水の言う
陰暦の計算式 月+日付÷6=X、 X+-0=
注1、 六曜であるが中国の発祥であるが、招来した過程で中国の「
先勝 | 急げば勝てる、AMは吉、PMは凶 |
友引 | 引き分けが多い、日中は凶 |
先負 | 急ぐと凶、 AM凶、PM吉 |
仏滅 | 大凶 |
大安 | 総てが吉 |
赤口 | 凶、日中は吉 |
注2、 十二直説は、たつ(達)、のぞく(除)、みつ(満)、たひら(平)、さだん(定)、とる(執)、やぶる(破)、あやぶ(危)、なる(成)、おさん(納)、ひらく(開)、とず(閉)である。
注3、 運勢暦には九星占いもある、一白水生、 二黒土星、 三碧木星、 四録木星 五黄土星、 六白金星、 七赤金星、 八白土星、 九紫火星、である。
注4、 オランダに於ける中国研究の第一人者で「中国の仏教伝来」の著者であるエーリク チュルヒャーの比喩を要約すれば中国に於けるピラミッドの頂点は・道教・佛教・儒教と複数あるが、麓に下るにしたがい混淆して境界は不明になると言う。(儒教、仏教、道教 菊池章太 講談社)
注5、キョンシー(殭屍)とは中国の死体妖怪と言われる、硬直した死体であるが年月を経ても腐乱せず動く怪談上の変死体。
注7、七福神の一神、 道教に於ける理想的な三種の幸せ願望を言う、 福=幸福 禄=財産 寿=永遠の生命(不老長寿)。
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