大徳寺

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夏目漱石は小説「虞美人草」で述べている「京は所の名さへ美しい」とまで言はしめた範疇に入るであろう響きを醸しだす紫野に大徳寺はある。
山号を竜宝山と言い開山は大燈国師・宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう)(1282年~1337年)で14世紀初頭に赤松氏の帰依を受けて紫野・雲林院(うりんいん)の跡地に庵を建立した事に始まる。   
1324年花園天皇の勅願寺1334年、後醍醐天皇の祈願寺として「本朝無双之禅苑」の勅願をうけて勢力を拡大し京都五山の第一に列せられる。
しかし後醍醐天皇の失脚と室町幕府が夢想門派に傾注した事により夢想門派と対立関係にあった大徳寺は衰退に向かう。
更に足利義満に五山・十刹の九位まで落とされて五山派を離脱し権勢とは無関係の林下派のに傾注する事になる、即ち世俗化して形骸化した五山派を離れ座禅一道、本来の禅に邁進する事になる。
応仁の乱に於いて伽藍は焼失するが住持に一休宗純が就任し禅を堺の豪商たちに伝え彼等の援助で伽藍を復旧する。  
茶の湯の創始者である村田珠光や弟子の千利休等が大徳寺に参禅する事により茶道との繋がりが密接となり「妙心寺の算盤ずら」に対して「大徳寺の茶ずら」「東福寺の伽藍ずら」「建仁寺の学問ずら」
「相国寺の「声明ずら」と揶揄されるようになる(注2
京都には京都五閣とも言われる名建築がある、京都三名閣と言われる鹿苑寺の金閣 ・慈照寺の銀閣 ・本願寺の飛雲閣に ・大徳寺の呑湖閣 ・東福寺の伝衣閣を加えた名閣を言う。

閑話休題、現在は別院2寺・塔頭寺院22寺・末寺350余を有する臨済宗大徳寺派の大本山である、中でも東渓宗牧(とうけいそうぼく)を開祖とする龍源院は塔頭の内では最古の歴史を持ち方丈は禅宗方丈建築として桃山時代の代表作である、また方丈を囲む・枯山水の一枝坦(いっしだん)・相阿弥の作とされる龍吟庭(りゅうぎんてい)・日本最少の石庭、東滴壺(とうてきこ)の三庭があり、さらに一つ書院の南に滹沱底(こだてい)もあり四庭がある
瑞峯院に於いては著名な三庭がある、即ち蓬莱山様式の「独坐庭(どくざてい)」、切支丹灯篭を配置した「閑眠庭(かんみんてい)」、青石を敷き詰め茶室へ導く「茶庭」がある。
これらの美意識は日本人の文化的遺伝子すなわちコスモロジー
(宇宙観)を著わしていると言える。 
五山派すなわち叢林(そうりん)の宗派が室町幕府の滅亡と共に衰えたが、林下(りんげ)すなわち山林派の大徳寺は秀吉・家康との関係を強化した、江戸時代に入り、茶の湯と共に隆盛を極め完備された伽藍に堂宇56院を持つ大寺院となった。
明治に入り廃仏毀釈の波に更され現在は24院に減じたが臨済宗の中では妙心寺派に次いで宗教的活動を行われている、また大徳寺は下表の様な国宝・重文指定を受けた多くの美術価値の高い貴重な文化財の宝庫である。
大徳寺と言えば一休宗純が著名である、一休とは後小松天皇の皇子とも言われている、師の華叟宗雲(かそうそうどん)から授かった名前で公案禅で師の大徳寺二十二世華叟(かそう)(そう)(どん)問に著名な歌がある、「 有漏(うろ)()より 無漏(むろ)()へ帰る 一休み 雨ふらば降れ 風ふかば吹け」と答えた歌による、因みに「有漏路」とは煩悩の世界を言い、「無漏路」とは煩悩が無くなる覚りの世界を言う、因みに塔頭の真珠庵は宗純の庵室跡に建てられた。  
茶道と茶人に関して村田珠光を述べる必要がある、師の一光宗純に随行して1483年(文明15年)銀閣寺で法式を定めた圜悟克勤(えんごこくごん)の墨跡(へきがんろく)を受けている、武野紹鷗、等を記憶しなければならない、更に茶道の千利休は聚光院の開祖で第百七世・笑嶺宗訴の俗弟子である。

塔頭の真珠庵には「一休宗純」の晩年の住居であった、本堂には一休直筆で七仏通誡偈の「衆善奉行」「諸悪莫作」が一対の軸として掲げられている、七仏通誡偈(つうかいしげ)とは釈尊を含む過去七仏が説いた共通の偈である七仏通誡偈の詳細は禅宗の後半部に記述
主な塔頭  ・大仙院・真珠庵・芳春院・聚光院・総見院・龍源院・黄梅院・徳禅寺・養徳院・高桐院・玉林院・孤篷庵・興臨院 など別院2寺、塔頭22院があり、拝観は通常否定されている、 但し・龍源院 ・瑞峯院 ・大仙院 ・高桐院は公開されている。                                



臨済宗
 大徳寺派大本山           所在地 京都市北区紫野大徳寺町53     ℡ 075491-0019


大徳寺の文化財
  表内は国宝   ●印重要文化財  抜粋

名       称

名                  称

時   代

 唐  門  (日暮の門)

 聚楽第の移設・妻飾りに特徴 四脚門 切妻造 桧皮葺

 桃山時代 

 方 丈

 29,9m―17,0m入母屋造 桟瓦葺 礼拝・法事の儀場

 江戸時代

 観音図

 一幅172,498,8cm 南宋の画僧・牧谿筆(ぼくけい)

 南宋時代

 猿鶴図

 二幅173,998,8cm 南宋の画僧・牧谿筆

 南宋時代

 大燈国師像

 絹本著色 一幅 115,556,5cm

 鎌倉時代

 後醍醐天皇宸翰御置文 

 一幅

 南北朝時代

 虚堂智愚・墨蹟

 一幅  (きどうちぐ)

 南宋時代

 大仙院・本堂

 入母屋造 銅板葺

 室町時代

 大燈国師墨蹟

 二幅   (大仙院・真珠庵)

 鎌倉時代

 聚光院・襖絵

 花鳥図・琴棋書画図・瀟湘八景  伝狩野永徳

 室町時代

 高桐院・山水図

 (こうとういん)二幅 絹本墨画 98,2-43,6cm

 宋 時代 

 龍光院

 書院・密庵・書院内部 12,010,87m 寄棟造 桟瓦葺

 江戸時代

 龍光院・茶碗

 曜変天目・宋代の建窯で作られた建盞で世界に三碗の逸品 

 南宋時代

 龍光院・金剛経

 大覚禅師筆

 江戸時代

 龍光院・竺仙梵僊墨蹟

 二幅

 江戸時代

 龍光院・密庵咸傑

 一幅 南宋の僧筆 27,3-102,1cm

 江戸時代

 雲門庵前屋

 29,8-20,0m 入母屋造 桟瓦葺

 江戸時代

 孤蓬庵

 井戸茶碗 h8,2cm 径15,4cm

 桃山時代


●仏殿 桁行三間 梁間三間 一重裳階 入母屋造 本瓦葺・       


●法堂 桁行五間―梁間四間 入母屋造 本瓦葺 


●寝堂 桁行二間 梁間三間 切妻造 桧皮葺・    


●浴室    


●経蔵  


●鐘楼   


●勅使門  


●三門
  


●庫裏 正面切妻 背面入母屋造 桧皮葺 


●後醍醐天皇像 絹本著色 掛幅装 131,877,3cm 鎌倉時代


●大燈国師像(宗峰妙超)絹本著色 掛幅装 119,556,5cm 南北朝時代 


●大応国師像(南浦超明) 絹本著色 掛幅装 156,673,2cm 鎌倉時代


●虚堂智愚像(きどうちぐ)絹本著色 掛幅装 156,571cm 南宋時代 


●佛涅槃図 絹本著色 掛幅装 591,0352,0cm 室町時代(狩野直信)

●五百羅漢図 絹本著色  82幅 南宋時代 一幅に五羅漢百幅の内
  

●竜虎図  絹本著色   牧谿筆 

●障壁画  方丈   狩野探幽筆 83

他狩野探幽の山水画襖・の竜虎図、芙蓉図など膨大な文化財を持つ。


1三門 (山門)  

禅宗伽藍の門を言い、空・無相・無作の三解脱門の略称とされる。 

禅宗寺院の正門を意味し他宗寺院の中門にあたり南大門にあたる門は総門と呼ばれる。 

東福寺・大徳寺等禅宗寺院の三門が著名であるが、様式を踏襲した知恩院浄土宗)などの例外もある。

山門(三門)は結界を表している、結界siimaabandha)とは聖域と俗域の境界を言う即ち清浄な領域と不浄の領域との区切る処である。

また密教では・国土結界・道場結界・檀上結界があり、高野山や比叡山は国土結界とし、護摩修法等の場合は壇上結界とされている。



2
臨済宗には本山を「ずら」呼びする風習があり・大徳寺の「茶ずら」・妙心寺の「算盤ずら」・東福寺の「伽藍ずら」・建仁寺の「学問ずら」・相国寺の「声明ずら」などと呼ばれていた。 


3、五山制度はインドの天竺五精舎」を模した制度である、因みに精舎を梵語でvihāra(ビハーラ)と言う、因みに「天竺五精舎(天竺五山)」とは、竹林精舎、()樹給(じゅぎつ)孤独(こどく)(おん)精舎(祇園精舎)、(あん)羅樹(らじゅ)(おん)精舎、大林精舎、(りょう)(じゅ)精舎が言われている。
室町幕府の庇護下にあった五山派は応仁の乱を境に力を失い、山林派すなわち権勢に媚びない曹洞宗や大徳寺派(大応派)、後の妙心寺派等林下(りんげ)が力を持つようになった。
  


注4 大徳寺住職時代に一休宗純(そうじゅん)関連の祥瑞(しょうずい)寺がある、「有漏路(うろじ)より無漏路(むろじ)へかえる一休(ひとやすみ)み 雨降らば降れ風吹かば吹け」一休24才の時、師である華叟宗曇(かそうそううん)から与えられた名であり、幼少の頃は周建(しゅうけん)と呼ばれていた。  


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最終加筆日200492日 20101119日龍源院 2017年10月12日 2019年3月27日 2023年6月26日

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