二十八部衆

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二十八部衆は千手観音の眷属とされている、東南西北と上下部にそれぞれ四躯、東北・東南・北西・南西に一躯の二十八部衆で構成される観音菩薩の信仰者を護る護法善神(ごほうぜんじん)である、善無畏訳による「千手観音造次第法儀軌」や伽梵達摩(がぼんだつま)Bhagavaddharma訳の「千手千眼観世音菩醍広大円満無礙大悲心陀羅尼(せんじゅせんげんかんじざいぼさつこうだいえんまんむげだいひしんだらに)経」略して「千手経」等に記述されているが訳された経典により小異がある、因みに千手観音の眷族は三十五躯であるが二十八部に分類されたと言われる、但し千手経には二十八部衆と言う名称や図像の記述は無く、儀軌の方に記述がみられる、ただし千手経には「大悲心陀羅尼」を唱える者を、善神および神龍王神母女等がそれぞれ五百の眷属を従えて擁護すると説かれている。 (佐久間瑠理子、観音菩薩、春秋社)                                                
二十八部衆像には経典により多少の相違がある為に蓮華王院
(三十三間堂)の例をとる、下部に正面左から番号を付けて列挙した、但し両脇の風神・雷神は最後尾に記述した。
重要文化財指定に常楽寺
(注1の二十八部衆像があり画像では相国寺の塔頭である慈照院に二十八部衆像幅がある、また西国三十三所・三番札所の粉河寺や清水寺にも本堂と奥の院に蓮華王院をモデルにしたとされる二十八部衆・風神・雷神像がある。
風神・雷神とは古代から大自然の中で人間が脅威を抱く風と雷を偶像化して其々に崇拝したもので中国から請来したと考えられる、日本に於いては古代神道にも奉られたが偶像崇拝の慣例は無く造像される事は中国請来まで行われなかった。
後に千手観音の守護神となり一対で二十八部衆と共に奉られた。
裸形に近い姿で風神は風袋から強風を吹き出し、雷神は複数の小太鼓を打ち鳴らす。
東京国立博物館の絹本著色 掛幅装 138,2×69,1cm 平安時代 ・蓮華王院の像と俵屋宗達による建仁寺
(京都国立博物館寄託)の「風神雷神図潅風」が国宝指定を受けており、尾形光琳による東京国立博物館の「風神雷神図潅風」著名である


蓮華王院の二十八部衆像
 (国宝)   一部工事中

  尊   名

 像高        適 用            容姿

 1 

罰し

那羅延堅固(ならえんけんご) 

 167,9cm      金剛力士  阿形    上半身裸 左手拳を上に 右手開いて下に下げる

 2

大弁功徳天像    

 166,7cm      吉祥天女         上半身裸 左手拳を腰に 右肘を曲げ拳を外に

 3

緊那羅(きんなら)

 166,0cm       帝釈天の配下  八部衆 甲冑を着て太鼓を持つ

4

金色孔雀王  

 166.3cm      孔雀明王       甲冑を着て左手に剣 右手は下に

 5

大梵天 

 169.7cm       梵天         中国天部風衣装で左手に薬壺 右手は印を結ぶ

 6

乾闥婆(けんだつば)王  

 159,7cm      八部衆        上半身裸 左手親指と薬指で輪の印 右手に金輪 

 7

満仙王(まんせんおう)  

 161,5cm                   甲冑を着て左手に蛇 右手に槌

 8

沙迦羅(さから)竜王 

 165.4cm      八部衆        甲冑を着て左手に蛇 右手に剣

9

 金大王(こんだいおう) 

 163.0cm      武人     甲冑を着て左手は拳で腰におき 右手に三鈷杵(又は独鈷杵)

10

 金毘羅王(こんびらおう) 

 157.6cm      水運の神 ガンジス河  甲冑を着て左手は弓 右手に矢 

 11

 五部浄(ごぶじょう)  

 167.6cm      八部衆         甲冑を着て両手に剣 

 12

 神母天(じんもてん) 

 169.4cm       鬼子母神の母     俗人姿で両手に銅(ばっ)(つし)     

 13

 東方天 

 166.3cm      四天王(東)  持国天  甲冑を着て左手を腰に右手拳を上に

 14

 毘桜勒又(びるろくしゃ)天王 

 164、5cm     四天王(南)        甲冑を着て左手下に 右手に独鈷杵

 15

 毘桜博又天王(びるばくしゃてんおう)

 160,6cm      四天王(西)   甲冑を着て左手下に 右手に独鈷杵三叉戟 右手に独鈷杵

 16

 毘沙門天王

  160,0cm      四天王(北)    甲冑を着て左手に宝塔 右手に独鈷杵

17

 迦桜羅(かるら)王   

 163.9cm      音楽神   八部衆 甲冑を着て人間の体躯 顔は鳥で翼をもち笛を吹く 

 18

 摩和羅王(まわらおう) 

 153.6cm      老婆尊       俗人姿で合掌 

19

  難陀(なんだ)竜王 

 159.1cm             甲冑を着て左手に龍尾を握り 右手は宝珠 

 20

 婆藪仙人(ばすうせんにん)(ヴァシユタ vāṣiṣṭha)

 154,5cm       婆羅門僧     上半身裸で左手に経典 右手に杖 

 21

 摩醯首羅(まけいしゅら)王 

 160,9cm       シバ神       上半身裸で左手に杖 右手は掌を開いている

 22

 畢婆迦羅(ひつばから)

 165.4cm       八部衆       甲冑を着て左手に寶棒 右手は垂らしている

23

 阿修羅王 

 164,8cm   八部衆 三面六臂  上半身裸で①合掌 ②左は日珠 右月珠 ③弓と矢

 24

 帝釈天  

 153.9cm               中国天部形で左拳を腰に 右手に寶鏡

 25

 散脂(さんし)大将 

 165.1cm      鬼子母神の夫     甲冑を着て左手下に 右手は上にあげ剣を持つ

 26

 満善車王(まんぜんしゃおう) 

 165.1cm       萬仙王        甲冑を着て左手は三叉戟 右手は独鈷杵  

27

 摩喉羅迦(まごらか)王 

 154,8cm      八部衆        甲冑を着て琵琶を所持 

28

 蜜迹(みつしゃく)金剛(こんごう)力士(りきし)  

 163,0cm  金剛力士 吽形  仏弟子を守る守護神  上半身裸で左手に拳 右手は掌を外側に 

風 神   木造彩色 玉眼  111,cm
雷 神   木造彩色 玉眼  100,0cm

 *二十八部衆を所蔵する寺院は中尊寺をはじめ多く存在するが、三十三応現身像の可能性を持つ処もある。



1、 ●常楽寺 木造彩色 玉眼 76.6100.5cm  鎌倉時代   滋賀県甲賀郡石部町西寺  ℡ 0748773089  FAX 0748-77-2550 完全予約制
   その他、
清水寺(京都市)中尊寺(岩手県)等々に存在する。 



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   2008225日 2012年4月24日 2016年4月21日 2017年6月14日 2019年7月19日 2020年1月6日更新




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